奈良県の県花は「奈良八重桜」
昭和43年3月に奈良県の花として告示・指定されたのは「奈良八重桜」だよ。奈良県の花選定委員会によって他に山桜、牡丹、梅、馬酔木、藤の6つの候補の中から選ばれたんだ。
5月上旬頃、枝に若葉とともにこぶりで淡い紅色の可憐な桜の花が咲き始めるよ。よく見かける八重咲きの牡丹桜のような重厚感のある姿ではなく、よく見ないと八重咲きだとはわからないような重ねの、儚い霞のような雰囲気の桜なんだ。
この桜を詠った有名な句が、小倉百人一首の第61番にあるぞ。「いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に においぬるかな」という伊勢大輔の歌だよ。桜の中でも一番遅く咲き始め、咲き始めると3日ほどで散ってしまう「奈良八重桜」は、奈良県奈良市の東大寺知足院に天然記念物に指定された樹がもととなって、接ぎ木で苗木を育てることでしか増やせないとっても難しい樹木で、この原種を含めても数えるほどしか現存していないといわれているんだ。